088 肩こり、背部痛、頭痛
東京都江東区東雲にお住まいの30代女性看護師
肩こり、背部痛、頭痛を訴え来院。肩こりは慢性的で10年来のものらしい。背部痛と頭痛も数年前からあり、背部痛は1ヵ月程前から症状が悪化傾向にあるようだ。頭痛は時々出現する程度だったが1週間程まえからほぼ毎日のように出るようになった。一ヶ月ほど前に整形外科を受診しところレントゲン撮影の結果「ストレートネック」と言われ、牽引を行ったがあまり改善が見られなかった。仕事以外にも資格取得のため勉強をしており、自宅でもパソコンや字を書く事が多いという。
肩こりの場所は棘上筋部で典型的な場所である。左右差はやや右側の方が強く感じるらしい。背部痛は肩甲骨の内側に痛み、こりを感じ背中も右の方が強く感じるようだ。頭痛は後頚上部から後頭部にかけて痛みがあり、やはりこちらも右に強く感じている。
姿勢分析をしたところ後方からは胸椎4番辺りからやや左側に傾きがある。側方からは鉛直線に対し3㎝ほど前方に重心が傾いている。特に頭部が前方にでているのが目立つ。脊柱の弯曲は胸椎の後弯と腰椎の前弯が強い傾向にある。そして頚椎を触診したところ前弯が減少している。首の可動域検査をしたところ伸展(上を見る動作)で右肩(棘上部)に痛みがあり、屈曲(下を見る動作)で右肩(棘上部)に張りを感じた。今回の症状は脊柱の前後の歪みと重心(特に頭部)が前方に傾いていることが原因だと考えられる。そして症状に左右差があるのは左に頭部が傾いているからだと推測される。施術は脊柱全体の適切なカーブを取り戻す調整と左に傾いた頭部の調整を施した。更に肩から首にかけて筋肉にもアプローチした。そして、日常生活では身体に負担のかからない姿勢と体操を指導し実施して頂いた。週2回のペースで5回施術を行った結果、肩こりは押さえると痛い程度まで軽減。頭痛は日に日に出現する頻度が減り5回目の時には気にならなくなっていた。姿勢を再分析したところ後方からは頭部の左への傾きが無くなり、側方からは頭部が鉛直線上に重なるようになっていた。その後、2週に1回のペースで施術を3回行った結果、症状が戻ることがなかったので現在は経過観察とメンテナンスをふまえて月に1回施術を行なっている。
コメント:この方の場合、看護師という過酷な労働条件と資格の勉強が合わさり頚椎から上部胸椎が下を向いた状態で固まったと思われます。その結果、普段の姿勢でも頭の位置が肩より前に出てしまい肩、背中、首の筋肉に負担をかけていました。そして頭痛は筋肉の緊張からくる緊張型頭痛だったので姿勢が変わり筋肉への負担が軽減されたことにより改善されたのだと思われます。個人差はありますが頭の重さは約5kgくらいです。この頭の位置次第で良い方にも悪い方にも転がります。頭の位置を意識しながら日常生活を送ってみてください。そして正しい頭の位置を維持するためには正しい姿勢でいることが大切です。