140 身体が傾いたままの歩行による腰痛
東京都江東区有明にお住まいの70代男性デスクワーク
少し前に、家族から身体が左へ傾いているという指摘をされた。自覚はなく痛みもないが左へ傾いている。いろいろ調べた結果、ウォーキングが良いのではないかと思い1日1万歩を目標に歩いていたところ右腰に痛みが現れた。寝ると翌朝には良くなるものの、ウォーキングをすると痛くなる。そのうち腰だけではなく右の背中も痛くなってきたため来院された。今も毎日1日1万歩のウォーキングを続けている。
自覚は少ないようでしたが、立位になると身体が左へ傾いてしまいます。関節の可動性や全体のバランスをチェックしていくと、右足に加重ができない状態で、左腰やお尻の筋緊張が強くなっていました。また、前後のバランスは猫背が強く、特に背部から腰にかけて、背骨の右側の関節が機能低下をおこしていました。これにより、右背部から腰の筋肉に大きな負担がかかっていて腰痛につながっていました。検査等では痛みなどの症状はなく、内科的疾患による腰痛の可能性も低いと判断して正しいバランスを整える施術を行ないました。年齢や関節の状態を考慮して、強い矯正は避け、筋緊張を緩和させる方法で行いました。施術後は、身体の傾きはやや残るものの背中が起こしやすくなり、右足に体重がかかるようになりました。おそらくこの状態で歩いて頂ければ、症状は現れにくくなると思います。痛みが現れた時にはウォーキングを中止するようお伝えしました。ご事情により継続しての施術ができなかったのですが、状態を理解して頂き、デスクワーク時に負担のかからない正しい姿勢をアドバイスしました。
コメント:原因は不明ですが、身体のバランスが崩れ右足への加重ができなくなっていました。そのため左重心が強くなり左に身体が傾くと、右背部から腰の右側の関節が開き、うまく働かなくなります。右の関節と筋肉の働きが低下すれば、身体を支えるのは必然的に左側の関節になり左重心が強くなります。このようにして、負の連鎖となって状態を悪化させてしまいました。狂ってしまったサイクルはなかなか戻らなくなってしまい、結果、歩行で筋肉が疲労し始めると痛みが現れてしまうのでしょう。このような状態では、歩き続けることで症状が良くなることは決してありません。早急に重心を安定させる対処が必要です。ウォーキングが悪かったわけでもありません。正しい状態で歩くことができなかったことに問題がありました。今回のケースも、大きく影響しているのは日常生活における姿勢です。日頃から姿勢には気をつけることが大切です。