肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)
肩関節とは?
肩関節は腕の骨である「上腕骨(じょうわんこつ)」と背中の両側にあるお皿のような形をした「肩甲骨(けんこうこつ)」そして「鎖骨(さこつ)」から形成される関節です。構造は上腕骨の近位部である「上腕骨頭(じょうわんこっとう)」が肩甲骨のくぼみである「関節窩(かんせつか)」に、はまるような形をしています。これを「肩甲上腕関節(けんこうじょうわんかんせつ)」と言います。更に肩甲骨の上外側先端部である「肩峰(けんぽう)」といわれる部分が上腕骨頭を上から覆いかぶさるような形状を成しています。肩関節(肩甲上腕関節)は典型的な球関節であるため非常に自由度が高い関節です。しかし、その一方で脱臼や軟部組織の損傷を起こしやすい関節とも言えます。
四十肩・五十肩とはどんな状態
肩関節周囲炎とは肩周辺組織の筋肉、腱、靭帯、軟骨などが老化し炎症を起こした状態のことを言います。そして、肩関節の運動制限を伴う場合もあります。いわゆる「四十肩・五十肩」は肩関節周囲炎のことです。肩関節周囲炎は50歳代の方に好発します。特に女性に多く発症する傾向があります。肩関節周囲炎の症状は肩周辺の疼痛と運動制限です。初期では服の脱ぎ着やエプロンの紐を結ぶ動作で疼痛を訴えます。症状が進行すると徐々に可動域が狭まり、安静時でも痛みが出るようになり、夜中に痛みで目が覚めることもあります。また、痛みが出ている側を下にして寝ると痛みが増すというのも特徴的です。
治療方法は?
整形外科では圧痛部位や肩関節の動きを診て診断を下します。また、腱板断裂や石灰沈着との鑑別をするためにレントゲンやMRI、造影剤撮影、超音波などの検査を行うこともあります。治療は急性期か慢性期かによって異なります。急性期で強い痛みが出ている場合は三角巾やアームストリングなどで腕を吊り、強制的に肩関節の運動制限をして安静にさせます。更に消炎鎮痛剤や注射などの薬物療法も行われます。そして、疼痛が弱り慢性期になって来たら運動療法や温熱療法、物理療法などが行われます。これらの治療で改善しない場合は手術が治療の選択肢に入ってきます。
肩の運動は肩甲上腕関節だけでなく、肩甲骨と鎖骨の関節である「肩鎖関節(けんさかんせつ)」、鎖骨と胸骨との関節「胸鎖関節(きょうさかんせつ)」、そして、肩甲骨前面と肋骨後面との結合部である「肩甲胸郭関節(けんこうきょうかくかんせつ)」が連動して様々な運動が行なわれています。
よってカイロプラクティックの施術では急性期は炎症が考えられるため、肩甲上腕関節を動かさないようにして、それ以外の関節や結合部に対してアプローチをしていきます。また、背骨や肋骨の歪みも関係しているためその調整も施します。そして、整形外科での治療と同様に強制的な運動制限と日常生活での注意点も指導し、先ずは疼痛軽減を目指します。炎症がおさまり痛みが落ち着いてきたところで、可動域改善の運動と肩甲上腕関節の調整を施します。肩関節の問題は、不良姿勢によって肩関節が正しい位置にない状態で動かすことから始まります。つまり関節にとって無理な状態で動かしているので、肩関節を正しい状態、正しい位置で動かすことが必要となるのです。それをカイロプラクティックの施術で回復させますが、結果として早期改善につながるのです。