膝蓋腱炎(しつがいけんえん)

膝蓋腱炎とは?

膝蓋腱炎は膝蓋骨(膝のお皿)の上や下に痛みや腫れを訴えるオーバーユース症候群(使い過ぎ)です。ジャンプ動作の多いバレーボールやバスケットボールを行う選手に多くみられることから「ジャンパー膝」「ジャンパーズニー」とも呼ばれています。主な原因は大腿四頭筋の柔軟性低下です。柔軟性が低下した状態でジャンプやダッシュなどの膝の屈伸動作を行うと筋肉が必要以上に引っ張られ膝蓋骨周辺に負荷がかかります。そして、この動作が頻繁かつ長時間行われると筋肉の付着部である腱の部分が損傷し炎症を起こします。殆どのケースでは微少断裂ですが稀に完全断裂することもあります。膝蓋腱炎は10代の男性に多く発症します。その要因として成長期が関係しています。この時期は骨の成長に対し筋肉の成長が遅れるため相対的に筋肉の長さが短くなってしまい硬くなります。その為、このストレスが成人より大腿四頭筋の停止部である膝蓋骨周辺に集中し、好発すると考えられます。痛みの場所は7割ほどが膝蓋骨の下ですが上にも痛みを訴えることがあります。

膝蓋腱炎かどうか?

チェック法は先ず患部の圧痛の有無を確認します。次にうつ伏せになり膝を曲げます。この時、太ももの前側の突っ張るような痛みから逃げるためにお尻が上がれば膝蓋腱炎の可能性があります。その他に病院の検査ではレントゲン検査による骨の剥離や膝蓋骨のズレを確認します。更に詳しい検査を行う場合はエコー検査、MRI検査などの精査が行われます。膝蓋腱炎は程度により症状が異なります。初期では運動後に痛みが出ます。進行してくると運動の前後に痛みが現れ、更に進行すると運動に支障きたすような強い痛みが出るようになります。

膝蓋腱炎の対処方法

対処方法は痛みの程度によって異なります。
①痛みが運動後に出る場合は運動後にアイシングを徹底して行います。そして、大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)を痛みのない範囲でストレッチします。更に必要に応じて専用のサポーターを使用します。
②痛みが運動の前後に現れる場合は①の処置に加え、ダッシュやジャンプ動作を中止し、膝、股関節を中心に機能改善を目的とした運動療法を行います。
③運動に支障をきたすほどの痛みの場合は月単位で全運動を中止します。そして、筋バランスを調整するためにストレッチなどの運動療法を行います。痛みがなくなったら運動を徐々に再開していきます。
④腱に断裂がある場合は手術が必要になります。

カイロプラクティックケア

①から③はカイロプラクティックの適応範囲です。カイロプラクティックケアでは前述した対処法に加え、身体全体をチェックし、重心バランスや全身の関節機能障害を調整し患部に負担のかからない状態に整えます。また、患部と反対側の膝にも発症する可能性が高いためそちらもしっかりケアしていきます。主に腰椎、股関節、膝関節にアプローチをします。特に、症状がなかなか改善回復しない時や再発を繰り返す時にはとても有効です。

予防方法は?

バレーボールナショナルチームの調べによると32.4%の割合で膝蓋腱炎を発症しているというデータがあります。チームスポーツで同じ練習をしていても発症する人としない人がいますが、発症する人は膝のアライメントに問題がある傾向があります。それはつま先が外側を向き膝が内側を向いてしまう状態です。(トーアウト・ニーイン)また、ジャンプ動作やスクワットなど膝を屈曲(曲げる)するときに膝がつま先よりも前に出過ぎてしまう人にも多く発症する傾向があるようです。
膝蓋腱炎のようなオーバーユースが原因で起こる障害は早めに処置をすることが大切です。少しでも痛みや違和感があったら運動後は膝のアイシングを徹底し、ストレッチを念入りに行うようにしましょう。

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